なぜ「中和」がわからないか
「中和が苦手」というお子さんは多くいます。
どうして中和が苦手なのでしょうか。
ひとつは「仕組みがしっかりとわかっていない」ということがあると思います。
もうひとつは「計算の手順がしっかり身についていない」ということでしょうか。
いずれにしても、中和反応自体はそう難しいものではありません。
単純に、水溶液には「酸性」「中性」「アルカリ性」という性質のものがあって、「酸性」と「アルカリ性」はたがいに逆の性質で打ち消し合うもの、そしてその中間が「中性」という性質の水溶液で、酸性の水溶液とアルカリ性の水溶液を混ぜると、たがいに性質を打ち消し合って中性の水溶液となるのです。
これを中和といいます。
別の記事でも示している、
のような反応が中和反応です。
酸性の水溶液である塩酸(塩化水素という気体が水にとけている)と、アルカリ性の水溶液である水酸化ナトリウム水溶液の中和です。
塩化水素は塩素と水素が結合したもので、水酸化ナトリウムは水素・酸素・そしてナトリウムからできています。
水溶液どうしを混ぜ合わせると、塩素とナトリウムが結合して塩化ナトリウム(食塩)ができます。
塩化水素の水素と、水酸化ナトリウムの水素・酸素が結合すると、水素(H)が2個と酸素(O)が1つでH20,つまり水ができ、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和では、食線と水、食塩水ができることがわかりますね。
さて、その中和計算なのですが、「ハンバーガーの法則」というものを覚えておいてください。
簡単な法則です。
ハンバーガーは、肉をはさむパンと中にはさまれる肉、両方がそろって、はじめてハンバーガーになります。
パンが三人前、お肉が5人前あっても、できるハンバーガーは三人前ですね。
どちらが欠けても、ハンバーガーにはならないんです。
同じように、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和によってできる食塩も、塩化水素と水酸化ナトリウムの両方がそろって、はじめてできるんですね。
ですから、塩酸が多すぎても水酸化ナトリウム水溶液が多すぎてもダメ。
両方がちょうどいい具合に揃わないとダメなんですね。
この続きは、例題を考えることで進めてみましょう。