中和計算を制する「ハンバーガーの法則」とは
中和計算に関する例題を1つ考えてみましょう。
【例題】
塩酸A50cm3と水酸化ナトリウム水溶液B60cm3をまぜ合わせると、ちょうど中性になりました。この混合液から水分を蒸発させると、食塩が5.8g残りました。また、塩酸A100cm3と水酸化ナトリウム水溶液B180cm3をまぜ合わせて、混合液から水分を蒸発させると、白色の固体が15.6g残りました。
白色の固体15.6gのうち、食塩は何gですか。
まず、このような化学反応の計算問題では「整理して書き出す」ということを徹底しましょう。
どのように整理すればいいかということなんですが、ここでのポイントは「ことばの反応式」です。
中学校、高校の化学では「化学反応式」というものを習います。
「2H2 + O2 → 2H2O」
といった、元素記号を使って反応の様子を表す式です。
しかし、小学生は元素記号を習いません(多くの受験生は水素Hや酸素Oくらいは知っていますが)。
だから、反応の様子を元素記号ではなく「ことば」で表すのです。
「塩化水素 + 水酸化ナトリウム → 塩化ナトリウム(食塩) + 水」
といった具合です。
この問題の場合(多くの問題がそうです)はできた食塩が問われているので、それを式に表しましょう。
塩酸 + 水酸化ナトリウム水溶液 → 食塩
50cm3 60cm3 5.8g
という具合です。
上に書いたのが、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液が「過不足なく(ちょうど)反応する組み合わせ」ですね。
これに対して、問題で示されている組み合わせはどうか。
塩酸 + 水酸化ナトリウム水溶液 → 食塩
50cm3 60cm3 5.8g
↓×2 ↓×3 ↓×■
100cm3 180cm3 ( )g
のように整理することができます。
塩酸は「ちょうど」の組み合わせの2倍、水酸化ナトリウム水溶液は「ちょうど」の組み合わせの3杯あることがわかります。
では、中和反応によってできる食塩は何gでしょうか。
ここで「ハンバーガーの法則」を思い出しましょう。
パンが2人前、ハンバーグが3人前あったとしたら、できあがるハンバーガーは2人前。
つまり材料のうち「少ない方」にあわせてしかできないことがわかります。
同じように、この問題でも中和反応によってできる食塩は、5.8gの2倍の11.6gということになります。
塩酸 + 水酸化ナトリウム水溶液 → 食塩
50cm3 60cm3 5.8g
↓×2 ↓×3 ↓×2
100cm3 180cm3 ( 11.6 )g
この「ハンバーガーの法則」が使いこなせるようになると、中和反応だけではなく化学反応の計算問題全般がどんどんできるようになります。
ぜひ塾のテキストなどで試してみてください。